「GDPの成長率は決して働き手(労働力人口)の増加率だけで決まるものではない」人口と日本経済 吉川洋

こんにちは。Masaです。

自己紹介で、新書を20冊読む!と宣言いたしました。

こちらはそれを決意した日に買った本でございます。

『人口と日本経済 – 長寿、イノベーション、経済成長』 吉川洋

今回はこちらの新書をレビューしてみようと思います。

人口が減ると経済が成長しないというのは本当か?

「日本は少子高齢化が進み、これから人口が減っていく。

働き手が減ってしまう日本に、さらなる経済成長を望むのは難しいのではないか。」

こういった考え方の根底には、「経済成長に最も影響を与えるのは人口である」という通念があるのではないかと思います。実際、人口の多い途上国(中国、インド、ブラジルなど)の経済成長の勢いにはものすごいものがあります。

しかし、必ずしも人口が経済成長にとって唯一の重要な要素とはならない、というのが本書の主張です。

吉川さんは本文で次のように述べておられます。

一国で1年間に作り出されるすべてのモノやサービスの価値(正確には付加価値)の総計を表すのがGDP(国内総生産)だが、その成長率は決して働き手(労働力人口)の増加率だけで決まるものではない。

本書の中では、高度成長期の人口と経済成長率のデータを見ながら、必ずしも人口と経済成長に相関があるわけではないことを分かりやすく説明してくれます。

カギは「労働生産性」にあり

では、人口の他に重要なこととは何なのか。

それは「労働生産性」です。

労働者一人当たりが生み出すモノが増えれば、「労働生産性」が上昇した、と言えます。

この「労働生産性」を高めることこそ、人口が減っていく日本経済にとって重要なのです。

以下、本文より引用です。

労働力人口が変わらなくても(あるいは少し減っても)、一人当たりの労働者が作り出すモノが増えれば(すなわち労働生産性が上昇すれば)、経済成長はプラスになる

では、「労働生産性」を高めるにはどうすれば良いのか。

答えは「イノベーション」です。

本文より引用します。

一国経済全体で労働生産性の上昇をもたらす最大の要因は、新しい設備や機械を投入する「資本蓄積」と、広い意味での「技術進歩」、すなわち「イノベーション」である

つまり、経済成長は人口の寡多だけで決まるのではなく、一人当たりの生産性が向上によって実現することもできる。人口の減りつつある日本においては、後者の手段が不可欠であると。そして、生産性の向上はイノベーションによってもたらされる、ということです。

内容の紹介はこれくらいにしておきます。

本書の中では、より詳細にデータを用いて分かりやすく説明してくれますので、ぜひご一読ください。

この本がすごいと思う理由

初心者にも分かりやすい文章で、日本経済の現状を多面的に捉えさせてくれる。

これが理由です。

僕は経済に関してはド素人です(だからこそ本書を読んだわけですが)。

経済の理論は何一つ知らない状態でしたが、データを用いながら分かりやすく解説してくれるので、理解が追いつかないところは一つもありませんでした。

また、人口、少子高齢化、経済成長、所得格差、イノベーションと実に様々な切り口で日本経済について解説してくれます。

その説明の流れの中で、ジニ係数やエンゲル係数といった有名な経済理論や指標についても解説してくれます。

1冊の新書で日本経済の現状から有名な経済理論までカバーしてくれる、非常にコスパの良い良書であると思いました。

こんな人におすすめ

  • 経済に興味がある初学者
  • 経済に興味はあるがとっつきにくそうだと思っている方
  • 日本経済が今どうなっているか多面的に捉えたい方
  • 良質な新書で知識をつけたい方

etc…

管理人の読後感

非常に綺麗に日本経済の現状がまとめられていて、学びが多かったという印象です。

やはり、これだけわかりやすくかつ多面的に整理してもらえると、初心者でも面白いと思える。僕のように経済に興味のあるビギナーの方にはおすすめです。

本書への不満は特にないのですが、イノベーションを起こすということは民間の企業が達成しなければならないことは、多少憂慮すべきことかと思います。

これまで日本のビジネス界は新陳代謝が進んだとは言い難く、未だ旧態依然とした雰囲気すら感じるところが多くあります。

そんな日本の産業界が一人当たりの生産性を劇的に向上させるようなイノベーションを果たして起こせるのか。ということは課題として残っています。

今後イノベーションとなりうるAIやらIoTやらの分野でぜひ日本企業には意地を見せてもらいたいですし、やってくれると信じています。

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『人口と日本経済 – 長寿、イノベーション、経済成長』