旧日本軍敗戦の歴史から学ぶ古典的名著!!『失敗の本質』をレビューします

こんにちは!Masaです。

今回は、『失敗の本質~日本軍の組織論的研究~』を書評したいと思います。

初版の発行は1984年なのですが、内容は非常に普遍的で、後世まで読み継いでいきたいと思う一冊です。

文庫版が出ていて、大変読みやすくもなっています。

概要

裏表紙に書いてあるコンセプトを引用します。

大東亜戦争における諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ直し、これを現代の組織一般にとっての教訓あるいは反面教師として活用することをねらいとした本書は、学際的な共同作業による、戦史の初の社会科学的分析である。

本当にこの通りの本です。

現代日本の組織と重なるような失敗や組織的特性が数多くみられます。

また、敗戦というデリケートにもなりかねない題材でありながらも、論調が客観的・科学的であることが貫かれていて好感が持てました。「社会科学的分析」とうたっているだけのことはあります。

本書の構成は以下のようになっています。

序章 日本軍の失敗から何を学ぶか

1章 失敗の事例研究

2章 失敗の本質〜戦略・組織における日本軍の失敗の分析〜

3章 失敗の教訓〜日本軍の失敗の本質と今日的課題〜

シンプルな構造ですが、文庫版で400ページほどありますし、内容も濃いのでかなり読み応えのある1冊になっています。

旧日本軍の敗戦は今の日本産業界の凋落と重なる部分がある

少し、私の所感を書いてみます。

私が強く感じたのは、

旧日本軍の敗戦と今の日本産業界の凋落は重なる部分が多い。

ということです。

以下3点、特に似ているなあと感じた点です。

・自己革新を行えなかった点

・硬直化した人事構造

・合理性より人的ネットワークの関係を優先した意思決定

旧日本軍は成功体験から抜け出せず、自己革新を行えませんでした。高度成長期の成功体験にとらわれ、自己革新を遂げられなかった日本企業、ひいては日本産業界全体の失敗と重なります。

海軍:日露戦争の日本海海戦の成功体験

陸軍:日露戦争での勝利。大東亜戦争初期の連戦連勝

旧日本軍はこの成功体験を元に組織を最適化させすぎました。

陸軍は白兵銃剣突撃主義を徹底的に浸透させたし、海軍も「海戦要務令」という日露戦争の成功を元に作られた書物が海軍の中で教条化していたところに、艦隊決戦主義が徹底的に浸透していたことが伺えます。

このような状態であったがゆえに、重大な環境の変化があっても、対応することができなかったのです。つまり、近代戦で重要なトレンドに乗り切れませんでした(情報戦の重要性が高まっていたのにも関わらず、情報軽視の傾向がみられました)。

これは、大量生産でモノを作りまくるモデルにとらわれた日本産業界と重なります。水平分業で圧倒的速度で価値を作り上げていくインターネットのモデルに転換できなかったために、現在のような苦境に立たされているのだと思うのです。

2点目、組織内の新陳代謝が進まず、組織が硬直化していた点。これも今の日本企業の人事構造と酷似しています。

白兵銃剣突撃主義と艦隊決戦主義の権化と言える人たちがリーダーとして君臨し、階級のトップ層は年功序列で上がってきた老年の軍人でした。

トップ層の年齢が高く、実力主義で上がっていくことができない現在の日本企業の構造と似ています。

そして3点目は言わずもがなでしょうか。

変な気の遣い合いで、合理的な意思決定が妨げられるというのは、なんとも日本的な気がします。

まあ、最近は欧米の経営コンセプトが結構入ってきて、さすがに企業レベルでは減ってそうな気もしますけどね。

日本の組織に属する人全員に読んでもらいたい!

私が特に強く感じた点を書きましたが、もっと大量に学んだ点があった本です。

前半部の事例集の中にも、既視感のある日本的な現象がいくつもみられて興味深いですし、後半の失敗の本質を分析して教訓を示す部分には、今の日本の組織の特性をズバリと言い当てる記述が満載です。

私なんかは、比較的古い業種の企業に勤めているので、「こういうのあるなあ」と思う記述が満載でした。

日本でどこかの組織に属する方なら、読んで損はない1冊です。

今回は以上です。

それでは。

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